私はのんちゃん Part.10


10−2

 2学期の前半のノンちゃんは暗かった。
授業に集中できないことは今までと変わらなかったが、
新学期になり、クラス47人の席替えをした結果、
ノンちゃんは窓から4列目の前から4番目、
つまり、教室のど真ん中になってしまった。
夏休み明けのクラスの人たちは日焼けはしていたが、
毎日のように外で部活をしていたノンちゃんには
黒さでは勝てなかった。
ノンちゃんは、授業の1時間目から6時間目までの
各先生に当てられた時は、
そこの真ん中の黒い子≠ナ呼ばれるようになった。
ノンちゃんは身も心も暗いことを痛切に分かるのだった。
また、ノンちゃんにとって唯一の学校生活の楽しみである
部活に出ても、何か元気がなかった。
練習中に時折、隣のコートにいる中島の方を見るのだが、
中島は練習に熱中しているせいか、あまりこっちを
向いてくれない。
たまに向いたとしても、枝川の方をちらっと見るだけだった。
その時がノンちゃんにとって一番つらい一瞬となった。

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