私はのんちゃん Part.10


10−1

 新学期が始まった。
ノンちゃんが教室に入ると、ほとんどの人が肌が
真っ黒に焼けていて、夏休みにどこへ出かけた
という話しで盛り上がっていた。
ノンちゃんも部活焼けで黒く、一見はみんなと
変わりはないが、話題が違うのでクラスに
うちとけることが出来ないでいた。
ノンちゃんが1人寂しく座っていると、
同じテニス部の塩見が話しかけてきた。
「ねえ、ノンちゃん、知ってる?」
「え、何を。」
「枝川先輩のこと。」
ノンちゃんはどきっとした。多分、中島先輩との
関係なのだろうとすぐに察した。
しかし、もし言って違っていたら自分の方から
嫌な話をしてしまうと思って、
ノンちゃんは知らないふりをした。
「枝川先輩がどうかしたの。」
「うん。中島先輩と夏休みにできちゃったんだって。」
「へぇー、そうなんだ。なんでそんなこと知ってんの。」
「うん。私、枝川先輩と家が近いでしょ。だから帰りは
よく電車で一緒に帰るんだ。」

「ふーん、そうなんだ。」
「うん、似合うよね。」
「えっ、まあ、そうだね。」
ノンちゃんにとって、つらい返事だった。

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