私はのんちゃん Part.4


4−1

 2人が行った所は、旧江戸川沿いの赤いアスファルトが続く
サイクリングロードだった。
後ろに振り向くと江戸川の河口がはっきりと見えて
見晴らしがよい。
さらに、東京湾から入ってくるクルーザーが静かに
流れるように走る姿はすがすがしさを与えた。
ノンちゃんはちょっとの間足を止めて、
景色に感動していた。
もし、中島がノンちゃんに本当に気があれば、
女の子がそういう気持ちになっている時の男のセリフは
チャンスである。
中島は後ろ向きに立っているノンちゃんに話しかけた。
「一応着いたぞ。これでやっとおにぎりが食えるな。」
どうやら今は自分の腹具合しか考えていないらしい。
中島はおにぎりの袋を開け、それを一口食べると、
自転車を押しながら歩き始めた。
ノンちゃんは慌てるかのようにして中島の横に並びながら歩いた。

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