私はのんちゃん Part.3


3−3

中島は少し驚いたが、うれしそうだった。
しかしうれしがっているのは別に構わないが、
ここは自分が東西線を使っていることを
ノンちゃんが知っていることに
気がつくべきであろう。結構、鈍感な男である。
「そ、そうか。じゃあ、そうするか。ただ俺、
おにぎりを食いながら帰るから、
少し遠回りして帰るよ。」

ノンちゃんにはさらに一緒にいられる時間が増えたのは
ラッキーなことだが、自転車の遠回りには不安があった。
「えっ、ひょっとして遠い所まで行くんですか。」
「いや、それほど遠くないかな。まあ、すぐと言えばすぐかな。」
「でも、駅には着きますよね。」
「そりゃそうだよ。」
「じゃあ、構いません。」
ノンちゃんがそう言うと、中島は自転車を押しながら歩き始めた。
中島はこの間のように2人乗りしようという態度はなかった。
多分、そうすると、また誰かに冷やかされると思ったのだろう。
ノンちゃんはどこに行くのだろうと考えながら、
中島に並ぶようにして歩き始めた。

BACK   NEXT