私はのんちゃん Part.1


1−2

当然のことながら、ノンちゃんは授業が始まると退屈だった。
特に3時間目の数学の授業はさっぱり分からない。
入学前には通っていた塾で少し予習していたのに、
授業のペースが速すぎて、今では黒板をノートに写すだけの作業に
なってしまっている。
さらに、5時間目の政経の時間は、お昼ごはんを食べ終わった
ばっかりなので、その50分間はほとんど寝ている。
しかもヨダレまで垂らす始末である。
この日のノンちゃんは、訳も分からずにひたすらラケットを
振り回している夢を見ていたが、不得意のバックハンドになり、
腕をピクッとさせてようやく起き上がるのだった。
そんな授業態度であっても、ノンちゃんは、
万が一の時にはもう一度塾へ行って、
先生に教えてもらえばなんとかなるだろう、

としか考えていなかった。
少しは事態の悪さを認識してほしいものである。

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