私はのんちゃん Part.12


12−3

「おい、深川。」
「えっ、あ、はい。」
ノンちゃんは自転車のハンドルを
両手で握りながら
中島の方を振り向いた。
中島はノンちゃんの方に近づいてきた。
「深川、お前、誰かと付き合っているのか。」
「え、いえ、別に。どうしてですか。」
「いや、まあ、ただ単に聞いてみただけだよ。」
「はあ、そうですか。」
「ああ、それじゃな。」
そう言って、中島はさっさと店の中に
入って行ってしまった。
 
ノンちゃんは、この人はもうあきらめなくちゃ
いけないんだと自分に言い聞かせようとしたが、
ちょっぴり淡い期待をもたせる会話ができたことに
なぜか機嫌良く舞浜駅に向かえることができた。

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