■ アリとキリギリス 21世紀Version ■
21世紀の童話はこんなふうになっちゃうんだね。
 とうとう、冬になってしまった。
オレは依然として厳しいままの、いや、それ以上の苦境に陥っていしまった。
どこの巣にも入れてもらえず、地上をフラフラとさまよい続ける存在になってしまったのだ。

 雪が降り始めた。
どこか、この雪を避けるところがないかと、必死になって、重たい体を動かしてみた。
どうやら、枯れ木のわきを見つけ、そこで休めることができた。

 ふぅ、と一息つき、これからのことを不安になりながらも考えた。
その時だった。近くで何かが動いた。
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