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うけたまはる @お受けする Aお聞きする
 @かしこき仰せ言をたびたびうけたまはりながら、(源氏物語・桐壺)
  ((帝からの)恐れ多いお言葉を何度もお受けしておきながら、)

 Aうけたまはりもはてぬやうにてなむ、まかではべりぬる。(源氏物語・桐壺)
  ((帝のお言葉を)最後までお聞きにならない有様で、退出いたしました。)

きこえさす @申し上げる Aお〜申し上げる[補助動詞]
 @また、文も、「久しく聞こえさせねば」などばかり言ひおこせたる、いとうれし。(徒然草・一七〇段)
  (また手紙も、「長く便りを申し上げないので」などとだけ言ってよこすのも、とてもうれしいことである。)

 A祈りをさえして、教へ聞こえさするに、(大鏡・道兼伝)
  (ご祈祷までして、お教え申し上げましたが、)

きこゆ @申し上げる A差し上げる Bお〜申し上げる[補助動詞]
 @いで、御消息聞こえむ。(源氏物語・若紫)
  (さて、ご挨拶を申し上げよう。)

 A御文も聞こえ給はず。(源氏物語・賢木)
  (お手紙も差し上げなさらない。)

 Bかの人は過ぐし聞こえて、(源氏物語・澪標)
  (あの方(明石の君)は(光源氏の)お通りをお待ちして、)

啓す (上皇・皇后・皇太子に対して)@申し上げる[絶対敬語]
 @つとめて、御前にまゐりて啓すれば、(枕草子・八段)
  (翌朝、中宮様のところに参り、申し上げると、)

さぶらふ @お仕えする A伺候する
 @女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、(源氏物語・桐壺)
  (女御、更衣が大勢でお仕えなさっていた中に、)

 A帥殿はあけくれ御前にさぶらはせ給ひて、(大鏡・道長伝)
  (帥殿(伊周公)は毎日のように帝の御前に御伺候なさって、)

奏す (天皇に対して)@申し上げる[絶対敬語]
 @よその君だちは便なき事をも奏してけるかなと思ふ。(大鏡・道長伝)
  (他の若君たちは(道長は)くだらないことを(帝に)申し上げてしまったことだと思った。)

たてまつる @差し上げる Aお〜申し上げる[補助動詞]
 @これ殿の奉らせ給ふ。御かへりごととく。(枕草子・八二段)
  (これを頭の殿が差し上げられます。すぐにお返事を。)

 A見捨てたてまつりてまかる空よりも、落ちぬべき心地する。(竹取物語・かぐや姫の昇天)
  (あなたをお見捨て申し上げてしまう空から、落ちてしまいそうな気持ちがします。)

たまはる @いただく
 @うちまきのかはりばかり給はりて、何にかはせむ。(宇治拾遺物語・六−六)
  (お供え用の(米の)代わりぐらいをいただいても、何になろうか。)

たまふ @〜ます(おります)[補助動詞][四段活用の場合は尊敬語]
 @たえだえ忘れぬものに思ひたまへしを、(源氏物語・帚木)
  (とだえがちながら忘れられない人と思っておりましたが、)

つかうまつる @お仕えする Aいたす Bお〜申し上げる[補助動詞]
 @惟喬[これたか]の親王、例の狩しにおはします供に、馬の頭なる翁つかうまつれり。(伊勢物語・八三段)
  (惟喬親王がいつものように鷹狩にいらっしゃるお供の中に、馬の頭であった翁がお仕えしていた。)

 A貫之召し出でて、歌つかうまつらしめ給へり。(大鏡・昔物語)
  (貫之をお呼びになられ、歌を詠ませることにいたしました。)

 Bはや、この皇子にあひ仕うまつり給へ。(竹取物語・蓬莱の玉の枝)
  (早くこの皇子と結婚してお仕え申し上げてなさい。)

はべり @伺候する
 @うしろざまに「誰々かはべる」と問ふこそをかしけれ。(枕草子・五六段)
  (後ろに控えている(滝口に)「誰々は伺候していますか」と尋ねるのはおもしろい。)

申す @申し上げる Aお〜申し上げる[補助動詞]
 @この酒をひとりたうべんがさうさせうしければ、申しつるなり。(徒然草・二一五段)
  (この酒を一人で飲むのがさびしいので、(おいで下さいと)申し上げたのです。)

 Aこの事を、有賢、鳥羽の院に訴へ申しければ、(宇治拾遺物語・六−六)
  (この事を有賢が、鳥羽院にお訴え申しあげたところ、)

詣づ @参上する Aお参りする
 @御とぶらひにもまうでざりけり。(源氏物語・若紫)
  (お見舞いにも参上しませんでした。)

 Aある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩よりまうでけり。(徒然草・五二段)
  (ある時思い立って、ただ一人で、徒歩でお参りに行った。)

まかづ @退出する A出かけます
 @恐ろしければ、かしこまりてまかでたまひぬ。(源氏物語・葵)
  ((光源氏は)恐ろしいので、かしこまって(上皇御所を)退出なさった。)

 A室の外にもまかでず。(源氏物語・若紫)
  (庵室の外に出かけることができません。)

まかる @退出する A参上する B出かける
 @この歌主、「まだまからず。」といひて起[た]ちぬ。(土佐日記・一月七日)
  (この歌主は「まだ退出するわけではありませんが。」と言って、席を外した。)

 Aなえたる直垂、うちうちのままにてまかりたりしに、(徒然草・二一五段)
  (よれよれな直垂で、普段のままで出かけたところ、)

 B筑紫の国にゆあみにまからむ。(竹取物語・蓬莱の玉の枝)
  (筑紫の国に湯治に出かけようと思います。)

まゐらす @差し上げる Aお〜申し上げる[補助動詞]
 @やすらかにゆひて参らせたけけるが、思ふやうにめぐりて、(徒然草・五一段)
  (かんたんに組み立ててさしあげたが、思うとおりに(水車が)まわり、)

 A「なにのかくは夢に見えつるにか」と思ひ参らすに、(宇治拾遺物語・五−一)
  (「どうしてこのように夢に見えたのだろう。」と思い申し上げるにつけ、)

まゐる @参上する Aお参りする B差し上げる
 @中納言殿まゐりたまひて、御扇たてまつらせたまふに、(枕草子・一〇二段)
  (中納言(隆家)様が参上なさって、(中宮様に)扇を献上なされるので、)

 Aある人、清水へ参りけるに、(徒然草・四七段)
  (ある人が清水寺にお参りしたときに、)

 B灯あかくかかげなどして、御果物ばかりまゐれり。(源氏物語・帚木)
  (灯火を明るくかきたてて、(光源氏に)お酒の肴だけを差し上げた。)
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