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より |
…起点・経由点・比較の基準・手段・方法・即時・限定を示し、 体言・連体形に接続する。 |
(1)起点…動作や作用の起点を示す。 [〜から] 今日、からくして、和泉の灘より小津の泊を追ふ。(土佐日記・二月五日) (今日は、やっとのことで、和泉の灘から小津の港に向かう。)
(2)経由点…経由する場所を示す。 [〜を 〜を通って] 東面の小門より入らせたまへ。(平家物語・月見) (東面の小門を通ってお入り下さい。)
(3)比較の基準…比較する基準を示す。[〜より 〜に比べて] おなじほど、それより下揩フ更衣たちはまして、安からず。(源氏物語・桐壺) (身分が同じ、またはそれよりも地位の低い更衣たちは、心穏やかではない。)
(4)手段・方法…手段や方法を示す。[〜で] ただひとり、徒歩より詣でけり。(徒然草・五二段) (たった一人、徒歩でお参りに行った。)
(5)即時…次の動作がすぐに行われることを示す。[〜するとすぐに] 命婦、かしこにまかで着きて、門ひき入るるより、けはひあはれなり。(源氏物語・桐壺) (命婦がそこ(更衣の里)に着いて、車を門内に引き入れるとすぐに、邸内の様子はあわれに感じられた。)
(6)限定…限定の意味を示す。[〜によりほかに] ひぐらしの鳴く山里の夕暮れは風よりほかに訪ふ人なし(古今集・秋) (ひぐらしが鳴いている山里の夕暮れは、風よりほかに訪ねてくる人はいないものだ。) | |
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