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…場所・時・対象・受身の動作主・原因・理由・目的・変化の結果・ 比較の基準・強調の関係を示し、体言・連体形などに接続する。 |
(1)場所…場所などを示す。 [〜に] この皮は、唐にもかなりけるを、からうじて求め尋ねえためなり。(竹取物語・火鼠の皮衣) (この皮は唐の国にはないもので、やっとのことで求め探してきたのです。)
(2)時…月日や時間を示す。 [〜に] この十五日になん月の都より、かぐや姫の迎へにまうで来なる。(竹取物語・かぐや姫の昇天) (今月の十五日に月の都から、かぐや姫の迎えにお使いの人がやってくる。)
(3)対象…動作の対象や相手を示す。 [〜に] はや船に乗れ、日も暮れぬ。(伊勢物語・九段) (早く船に乗れ、日も暮れてしまう。)
(4)受身の動作主…受身の動作主を示す。[〜に] ぬす人なりければ、国の守にからめられにけり。(伊勢物語・一二段) (盗人であったので、国の役人に捕らえられてしまった。)
(5)原因・理由・目的…原因・理由・目的を示し、目的の意味で使われる場合は、 連用形に接続されることが多い。[〜に 〜で 〜のために] 梅の匂ひにぞ、いにしへの事もたちかへり恋しう思ひいでらるる。(徒然草・一九段) (梅の匂いによって、昔に戻って恋しく思い出される。)
あづまの方に住むべき国求めにとて行きけり。(伊勢物語・九段) (東国に住むにふさわしい国を求めるためにと思って行った。)
(6)変化の結果…物事の変化の結果を示す。[〜に] 三月ばかりになる程に、よき程なる人になりぬれば、(竹取物語・かぐや姫の生い立ち) (三ヶ月ほどで普通の人間ほどの背丈の人になったので、)
(7)比較の基準…比較する基準を示す。[〜に 〜より] 能書・学匠・弁説、人にすぐれて、宗の法燈なれば、(徒然草・六〇段) (達筆・学問・弁説は人よりも優れ、その宗派の中心人物なので、)
(8)強調…動詞を繰り返す場合に用いて表現を強調し、連用形に接続する。 盗人泣きに泣きて、言ふことなし。(今昔物語・二五−一一) (盗人は泣きに泣いて、言うことは何もなかった。) | |
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