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使役尊敬謙譲の意味をもち、下二段型の活用で、四段・ナ変・ラ変動詞の未然形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
する すれ せよ 下二段型

(1)使役…[〜せる・〜させる]
すこし形見とて、脱ぎおく衣に包まんとすれば、ある天人包まず。(竹取物語・かぐや姫の昇天)
 (少しだけ、形見にとして脱いでおく衣に包もうとしても、天人は包まさせなかった。)
 
[未然]
御供なる人、酒をもたて野より出で来たり。(伊勢物語・八二段)
 (御供の人が召使いに酒を持たせて野原から出て来た。)
 
[連用]
妻の女にあづけて養は(竹取物語・生ひ立ち)
 (妻に預けて養わさせた。)
 
[終止]
女はこのをとこをと思ひつつ、親のあはすれども、聞かでなむありける。(伊勢物語・二三段)
 (女はこの男と思い、親は結婚させようしたが、(男の方は)全く聞こうとしなかった。)
 
[連体]
「荻の葉、荻の葉。」と呼ばすれど、答へざなり。(更級日記)
 (「荻の葉、荻の葉。」と(従者に)呼ばせたが、返事がなかった。)
 
[已然]
さがらふ者をば、弓の筈に取りつかせよ(平家物語・橋合戦)
 (後に流される者がいたら、弓のはしにつかまらせよ。)
[命令]

(2)尊敬…[〜なさる・お〜になる・〜れる・〜られる]
われに御覧じあはせてのたまはたる、いとうれし。(枕草子・二六七段)
 (自分の方を御覧になられて、仰せられるののはとても嬉しい。)
[連用]
 ※「おはします」「給ふ」「まします」などの尊敬語について高い尊敬の意を表す。

(3)謙譲…[〜いたす・申し上げる・献上する・差し上げる]
白き木に立文をつけて「これ、たてまつらむ」といひければ、(枕草子)
 (白い木に正式な書状をつけて、「これを謙譲しましょう」と言ったので、)
 
[未然]
「御消息を申さ侍らむ」と申し給ふ。(源氏物語・夢浮橋)
 (「お手紙みを差し上げましょう」とおっしゃられた。)
 
[連用]
薬の壺に御文そへ、まゐら(竹取物語・ふじの山)
 (薬の壺と一緒にお手紙を添えて帝に差し上げる。)
[終止]
 ※「申す」「奉る」「まゐる」などの謙譲語について高い謙譲の意を表す。
※「せ」の識別
四段・ナ変・ラ変動詞の未然形+「せ」→使役・尊敬の「す」の未然形・連用形
 御供なる人、酒をもたて野より出で来たり。(伊勢物語・八二段)
  (御供の人が召使いに酒を持たせて野原から出て来た。)
 
活用語の連用形+「せ」→過去の「き」の未然形
 その人の後といはれぬ身なりばこよひの歌をまづぞよままし(枕草子・九九段)
  (自分が清原元輔の子と言われなければ、今夜の歌会で最初に詠んでいるのでしょうが。)
 
サ変動詞「す」の未然形
 死なぬ薬も何かはむ。(竹取物語・ふじの山)
  (死なない薬もなんの役に立つのだろうか。)
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