ず |
「ねたき。いはざらましものを。」とくやしがるうちに、(土佐日記・二月七日) (「残念だ。(このような歌を)詠まなければよかったなあ。」とくやしがっているうちに、) |
[未然] |
「かへりごとせずはおぼつかなかりなむ」とて、(堤中納言物語・虫めづる姫君) (「返事をしないと、相手は待ち遠しく思っているでしょう。」と言って、) |
[連用] |
こちごちしき人にて、かうやうのこと、さらに知らざりけり。(土佐日記・二月七日) (無風流な人であったので、このような(和歌を詠む)ことはよりわからなかった。) |
[連用] |
忘れがたく、くちをしきことおほかれど、えつくさず。(土佐日記・二月一六日) (忘れたくても忘れられない、心残りなことは多いが、(その全てを)書き尽くすことができない。) |
[終止] |
京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず[終止]。(伊勢物語・九段) (都の京では見られない鳥なので、みなだれも見知っていない。) |
[連体] |
金はすぐれたれども、鉄の益多きにしかざるがごとし。(徒然草・一二二段) (金は優れているけれど、鉄の効用の多さには及ばないのと同じようなものである。) |
[連体] |
海賊は夜あるきせざなりと聞きて、(土佐日記・一月三〇日) (海賊は夜に行動することはしないと聞いたので、) [ざるなり→ざんなり→ざなり] |
[連体] |
伊豆の国の流人、前兵衛佐頼朝が首を見ざりつるこそ安からね。(平家物語・入道死去) (伊豆の国の流人、前兵衛佐頼朝の首を見なかったこと、これこそ残念なことだ。) |
[已然] |
魚は水に飽かず。魚にあらざれば、その心を知らず。(方丈記) (魚は水に飽きない。それは魚でなければ、その気持ちはわからない。) |
[已然] |
道の人、これを聞きて思ひいさめて、われを打たしめざれ。(今昔物語・一二−一三) (道を歩いている人よ、痛がる私の声を聞いて、私を打つ人がこれ以上打たないようにしておくれ。) |
[命令] |