■ Hello School 古典 文法 助動詞 なり(伝聞) ■
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なり 伝聞推定の意味をもち、ラ変型の活用で、活用語の終止形、ラ変型活用語の連体形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
なり なり なり なる なれ ラ変型

(1)伝聞…[〜とかいう・〜そうだ]
なり 「殿まゐらせ給ふなり」とて、散りたるものとりやりなどするに、(枕草子・一八四段)
 (「関白殿がおいでのようです」と言って、散らかしているものを取り片付けたりしているので)
 
[終止]
男もすなる日記といふものを女もしてみんとてするなり。(土佐日記・一二月二一日)
 (男もするとかいう日記というものを女の私も試してみようと思い書くことにします。)
 
[連体]
源氏の光君こそ、公の御かしこまりにて、須磨の浦にものしたまふなれ(源氏物語・須磨)
 (源氏の光君が、朝廷からのおとがめで、須磨の浦にいらっしゃるということです。)
[已然]

(2)推定…[〜ようだ]
なり いとど、愁ふなりつる雪、かきたれいみじう降りけり。(源氏物語・末摘花)
 ((女房たちが)たいそう愚痴をこぼしあっていたようだった雪が激しく降りしきっていた。)
 
[連用]
妻戸を、やはら、かい放つ音すなり(堤中納言物語・花桜折る中将)
 (妻戸をそっと開ける音がするようだ。)
 
[終止]
「年たちかへる」など、をかしきことに、歌にも文にも作るなるは。(枕草子・四一段)
 (「年たちかへる」などと風情を感じさせることとして、歌にも漢詩にも詠まれるということです。)
 
[連体]
山の端にあぢ群さわき行くなれど我はさぶしゑ君にしあらねば(万葉集・四−四八六)
 (山の端にあじ鴨の群れが騒ぎ飛んでいくようだが、私は寂しいことだ。あじ鴨はあなたではないのだから。)
[已然]
※ラ変型活用語の連体形+「なり」
 ラ変型活用語の連体形に「なり」がつくと、連体形の語尾の「る」が撥音便化し、なおかつ、
その「ん」が表記されない場合がある。
あるなり→あんなり→あなり
 いかなりとも必ず逢ふ瀬あなれば、対面はありなむ。(源氏物語・葵)
  (どのようになっても(夫婦は)必ず逢うときがあるそうなので、きっと対面することになろう。)

なるなり→なんなり→ななり
 来る音すれば、さななりと人々いでて見るに、(枕草子・二五段)
  (車の音がするので、やってきたようだと人々が出てみると、)

※「なり」の識別
体言・活用語の連体形+「なり」→断定の「なり」
 父はなほ人にて、母なん藤原なりける。(伊勢物語・一〇段)
  (父は普通の身分の人であったが、母は藤原出身の人であった。)

 勝たんとうつべからず、負けじとうつべきなり(徒然草・一一〇段)
  (勝とうとして打つのではなく、負けまいと打つべきである。)

終止形+「なり」→伝聞・推定の「なり」
 「殿まゐらせ給ふなり」とて、散りたるものとりやりなどするに、(枕草子・一八四段)
  (「関白殿がおいでのようです」と言って、散らかしているものを取り片付けたりしているので)

ナリ活用の形容動詞の連用形・終止形の活用語尾
 夏は夜。月のころはさらなり(枕草子・一段)
  (夏は夜(がいい)。月が明るいころはいうまでもなく、)

 「入らせたまへ。端あらはなり。」と聞こえさえすれば、(堤中納言物語・虫めづる姫君)
  (「(部屋の中に)お入りなさい。縁側では丸見えです。」と申し上げると、)

四段活用動詞「なる」の連用形
 今は武蔵の国になりぬ。(更級日記)
  (今はもう武蔵の国に入った。)
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