■ Hello School 古典 文法 助動詞 けむ ■
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けむ(けん) 過去推量過去の原因推量過去の伝聞過去の婉曲の意味をもち、
 四段型の活用で、活用語の連用形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
けむ けむ けむ けめ 四段型

(1)過去推量…[〜ただろう]
けむ よき物は心とめけんとはかなし。(徒然草・一四〇段)
 (よい物だと、さぞ心にひかれただろうと思われて情けない。)
 
[終止]
いかばかり心のうち涼しかりけん(徒然草・一八段)
 (どんなにか心の中まで涼しかったことだろう。)
 
[連体]
人数には思し入れざりけめども(源氏物語・柏木)
 ((私を)人並みにとして深くはお思いにならなかったのでございましょうけども)
[已然]

(2)過去の原因推量…[どうして〜したのだろう・〜したのだろう]
けむ あなうらやまし。などか習はざりけん(徒然草・一六七段)
 (ああ、うらやましいなぁ。どうして習わなかったのだろう。)
 
[連体]
唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記しとどめて世にも伝えけめ(徒然草・一八段)
 (中国の人はこれらのことを素晴らしいと思ったからこそ、本に書き記して後世に伝えたのだろうが)
[已然]

(3)過去の伝聞…[〜たとかいう]
けむ 行平の中納言の「関吹き越ゆる」と言ひけむ浦波、(源氏物語・須磨)
 (行平の中納言が「関吹き越ゆる」と歌に詠んだとかいう浦波が)
[連体]

(4)過去の婉曲…[〜たような]
けむ 向かひゐたれけんありさま、さこそ異様なりけめ。(徒然草・五三段)
 ((医者と)向かい合ったらうな様子はさぞかし変なものであっただろう。)
 
[連体]
この御子女御こそは、かの宮の御はらからにものしたまひけめ(源氏物語・若菜上)
 (この御子の母の女御こそは入道の宮の妹君でいらっしゃったように思う。)
[已然]

※「む」「らむ]「けむ」「ぺし」の比較
「む」未来の推量
 夕には朝あらことを思ひ、朝には夕あらことを思ひて(徒然草・九二段)
  (夕方には明日の朝があるだろうと思い、朝には夕方があるだろうと思って)

「ぺし」「む」の意味を強めたもの
 いみじく思し嘆くひとあるべし(竹取物語・かぐや姫の昇天)
  (とても思い嘆きなさることがきっとあるだろう。)

「らむ]現在の推量
 駒並めていざ見に行かむふるさとは雪とのみこそ花は散るらめ(古今集・春上)
  (馬を並べてさあ花を見に行こうよ。奈良の都は雪が降るように桜の花が散っているだろう)

「けむ」過去の推量
 いかばかり心のうち涼しかりけん(徒然草・一八段)
  (どんなにか心の中まで涼しかったことだろう。)
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