|
らむ(らん) |
…現在推量・原因推量・伝聞・婉曲の意味をもち、四段型の活用で、 活用語の終止形、ラ変型の活用語には連体形につく。 |
基本形 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
已然形 |
命令形 |
活用の型 |
らむ |
○ |
○ |
らむ |
らむ |
らめ |
○ |
四段型 | (1)現在推量…[今ごろは〜ているだろう・〜だろう]
らむ |
あかねさす日に向かひても思ひ出でよ都は晴れぬながめすらむと(枕草子・二四〇段) (日向の国に行き、東から昇る日に向かっても、日の出る都を思い出してください。 都では空も心も晴れないままで思い沈んでいるであろうと) |
[終止] |
風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ(伊勢物語・二三段) (風が吹くと沖の白波が立つ。そのたつとは違うが、 竜田山をこの夜中に一人で越えているのだろうか。) |
[連体] |
駒並めていざ見に行かむふるさとは雪とのみこそ花は散るらめ(古今集・春上) (馬を並べてさあ花を見に行こうよ。奈良の都は雪が降るように桜の花が散っているだろう) |
[已然] | (2)原因推量…[〜なのだろう・どうして〜だろう]
らむ |
いとかく思ひ沈むさまを、心細しと思ふらむ。(源氏物語・須磨) (私がこのようにとても思い沈んでいる様子を見て、心細いと思うのであろう。) |
[終止] |
ひさかたの月の桂も秋はなほ紅葉すればや照りまさるらむ(古今集・秋) (月にある桂も秋になれば紅葉するので、月の光が照りまさるのであろう) |
[連体] |
あさみこそ袖はひづらめ涙河身さへ流ると聞かばたのまむ(伊勢物語・一〇七段) (河の水が浅いので袖をぬらすのでしょうが、涙の河で体まで流されると聞きましたら、 あなたを頼りに逢うことにしましょう) |
[已然] | (3)伝聞…[〜とかいう]
らむ |
鸚鵡、いとあはれなり。人のいふらむ言をまねぶらむよ。(枕草子・四一段) (オウムはとても趣が深い。人が言う言葉を真似するという。) |
[連体] | (4)婉曲…[〜ような]
らむ |
おぼすらむ事、何事ぞ。(竹取物語・かぐや姫の昇天) (思っていらっしゃることとはどのようなことですか。) |
[連体] |
|
※「らむ]」の識別 |
|
・終止形+「らむ」→推量の助動詞「らむ」の終止(連体)形 風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君がひとり越ゆらむ(伊勢物語・二三段) (風が吹くと沖の白波が立つ。そのたつとは違うが、 竜田山をこの夜中に一人で越えているのだろうか。)
・命令(已然)形+「らむ」→完了の助動詞「り」の未然形+推量の助動詞「む」の終止(連体)形 それを射あてたまへらむ人に奉らむ。(大和物語・一四七段) (それ(水鳥)を射当てなさった人に(娘を)差し上げましょう。)
・用言の未然形+推量の助動詞「む」の終止(連体)形 懈怠の心あることを知らんや。(徒然草・九二段) (怠けた心が生じることを知らないだろうか。)
・打消しの助動詞「ず」の未然形の一部+推量の助動詞「む」の終止(連体)形 いかが思はざらむとおぼゆ。(枕草子・二六七段) (どうしていとおしく思わないだろうか) | | | |
|