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む(ん) |
…推量・意志・適当・勧誘・婉曲・仮定の意味をもち、四段型の活用で、 活用語の未然形につく。 |
基本形 |
未然形 |
連用形 |
終止形 |
連体形 |
已然形 |
命令形 |
活用の型 |
む(ん) |
○ |
○ |
む (ん) |
む (ん) |
め |
○ |
四段型 | (1)推量…[〜う・〜だろう]
む (ん) |
懈怠の心あることを知らんや。(徒然草・九二段) (怠けた心が生じることを知らないだろうか。) |
[終止] |
夕には朝あらんことを思ひ、朝には夕あらんことを思ひて(徒然草・九二段) (夕方には明日の朝があるだろうと思い、朝には夕方があるだろうと思って) |
[連体] |
春ごとに花のさかりはありなめどあひ見む事は命なりけり(古今集・春上) (春が来るごとに花の盛りはあるのだろうけれど、その盛りを見るのは命あってのことだなぁ。) |
[已然] | (2)意志…[〜う・〜よう]
む (ん) |
二つの矢、師の前にて、一つをおろそかにせんと思はんや。(徒然草・九二段) (二本の矢を師匠の前で、その一本をいい加減にしようと思うだろうか。) |
[終止] |
かさねてねんごろに修せんことを期す。(徒然草・九二段) (もう一度、十分に修めようと決心する。) |
[連体] | (3)適当…[〜がよい]
む (ん) |
心づきなき事あらん折は、なかなかそのよしをも言ひてむ。(徒然草・一七〇段) (気のりしない事があるような時は、かえって客に言ってしまうのがよい。) |
[終止] |
命長くとこそ思ひ念ぜめ。(源氏物語・桐壺) (長生きしようと思って我慢すべきです。) |
[已然] | (4)勧誘…[〜しませんか]
む (ん) |
忍びては参りたまひなむや。(源氏物語・桐壺) (こっそりと参内なさいませんか。) |
[終止] | ※適当・勧誘の意味で使われる「む」は「こそ〜め」「てむ」「なむ」の形で用いられることが多い。
(5)婉曲…[〜ような]
む (ん) |
「いましばしけふは心しづかに」など言はんは、(徒然草・一七〇段) (もう少し(いて下さい。)今日はゆっくり(話しましょう)などというような場合は) |
[連体] | (6)仮定…[〜であろう・〜としたら]
む (ん) |
思わむ子を法師になしたらむこそ心ぐるしけれ。(枕草子・七段) (かわいいと思うような子を法師にしているとすれば、それは痛々しいことだ。) |
[連体] | ※婉曲・仮定の意味で使われる「む」は連体形で用いられる。 | |
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