■ Hello School 古典 文法 助動詞 ぬ ■
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完了強意並列の意味をもち、ナ変型の活用で、活用語の連用形につく。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形 活用の型
ぬる ぬれ ナ変型

(1)完了…[〜た・〜してしまった]
ひとさかりありば人にうき目見えなむ(古今集・春上)
 (盛りが過ぎてしまったならば、老いた醜い姿が一目に目立ってしまうだろう。)
 
[未然]
かぎりなくとほくも来けるかなとわびあへるに、(伊勢物語・九段)
 (はるばる遠くまで来たものだなあと嘆きあっていると)
 
[連用]
三河の国、八橋といふ所にいたり(伊勢物語・九段)
 (三河の国の八橋という所に着いた。)
 
[終止]
夜中うち過ぐるほどになむ、絶えはてたまひぬる(源氏物語・桐壺)
 (夜中過ぎごろに、お亡くなりになってしまいました。)
 
[連体]
わが待たぬ年はきぬれど冬草のかれにし人はおとずれもなし(古今集・冬)
 (私が待っていない年の方は来たけれど、冬草が枯れるではないが、
   離れて去ってしまった人は便りさえよこさない。)

 
[已然]
さらにつかず、立ち(枕草子・二五段)
 (ぜんぜん(護法が)つかない。立ちなさい)
[命令]

(2)強意…[きっと〜・〜してしまう]
船にのりんとす。(土佐日記・一二月二七日)
 (船に乗ってしまおうとする。)
 
[未然]
見捨てたてまつりてまかる空よりも、落ちべき心地する。(竹取物語・かぐや姫の昇天)
 (あなたを見捨て申し上げて行く空から、悲しさで落ちそうです。)
 
[終止]
世の中に見えぬ皮衣のさまなれば、これをと思ひ給ひ(竹取物語・火鼠の皮衣)
 (世の中には見ない皮衣のようなので、これを本物と思ってください。)
[命令]
※「つ」・「ぬ」+推量の助動詞
 べし・べし・む・む・らむ・らむ・まし・まし・けむ・けむ
 などの推量の助動詞とともに用いられる場合は強意となる。

(3)並列…[〜たり〜たり]
浮き、沈み、揺られければ(平家物語・那須与一)
 (浮いたり、沈んだり揺られたので)
[終止]

※「つ」と「ぬ」の違い
 「つ」[何(誰)がどうした]という意志または作為的な動作を表す場合に使うのに対して、
 「ぬ」[何(誰)がどうなった]という自然推移または無作為的な作用を表す場合に使う。

※「ぬ」の識別
・未然形+「ぬ」→打消しの助動詞「ず」の連体形
 京には見え鳥なれば(伊勢物語・九段) (都では見かけない鳥なので)

・連用形+「ぬ」→完了の助動詞「ぬ」の終止形
 都近くなり(土佐日記・二月六日) (都が近くなった)

・ナ変動詞→終止形活用語尾
 一人二人すべりいでて往(枕草子・すさまじきもの) (一人二人こっそりと退出してしまう)
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