■ Hello School 古典 文法 形容詞 ■
古典文法を豊富な例文と一緒にインターネットで勉強できるよ♪
形容詞…自立語で活用があり、性質・状態を表す単語で、述語になる単語。
     言い切りが「し」で終わる。ク活用とシク活用の2種類がある。
 
形容詞の活用
ク活用(よしの場合)
基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
よし (く)
から

かり


かる
けれ

かれ
よし 「うはおそひ着たらむわらはも、まゐりよからめ」(枕草子・八段
 (うはおそひを着た童女も参りやすいことでしょう。)
 
[未然]
「ちうせい折敷に、ちうせい高杯などこそよくはべらめ」(枕草子・八段
 (ちうせい折敷に、ちうせい高杯などがよろしいかと思います)
 
[連用]
「切りぬべき人なくばたべ。切らん」と言ひたらんは、なほよかりなん。(徒然草・二三一段)
 (「料理すべき人がいなければください。料理しましょう」と言う方がよりよいに違いないでしょう。)
 
[連用]
夜は、きららかに、はなやかなる装束、いとよし(徒然草・一九一段)
 (夜はきらびやかで派手な服装の方がたいそうよい。)
 
[終止]
学びやうは、いかやうにてもよかるべく、(うひ山ぶみ)
 (学ぶ方法は、どのようにしてもよいのであって、)
 
[連体]
かたち・心ざまよき人も才なくなりぬれば、(徒然草・一段)
 (容貌や気立てのよい人であっても、学問がなくなってしまうと、)
 
[連体]
をかしきやうにとりなしたるも、まことによけれども、(徒然草・二三一段)
 (おもしろいように取り計らっているのも、実によいものだが、)
 
[已然]
一門中が世話かくも、みな治兵衛ためよかれ(心中天の網島)
 (一族中で世話をやくのも、みんな治兵衛のためによかれ(と思ってのことだ。))
[命令]

シク活用(をかしの場合)
基本形 語幹 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
をかし をか (しく)
しから
しく
しかり

 
しき
しかる
しけれ
 
しかれ
をかし をかしからむ所のあきたらむもがな。(堤中納言物語・貝あはせ)
 (風情のある家で、門が開いているところがあればいいなあ。)
 
[未然]
末濃・むら濃なども、常よりはをかしく見ゆ。(枕草子・五段)
 (末濃・むら濃なども、普段よりも風情があるように感じられる。)
 
[連用]
いかにめでたう、をかしかりけむ。(枕草子・二三段)
 (どんなに素晴らしく、趣き深いことだったでしょう。)
 
[連用]
四月、祭りのころいとをかし(枕草子・五段)
 (四月の賀茂祭のころはとても風情があるように感じる)
 
[終止]
見まさりせむこそ、をかしかるべけれと、(源氏物語・橋姫)
 (思った以上によく見えるのは、見事なものだと、)
 
[連体]
花びらのはしに、をかしき匂ひこそ、心もとなうつきためれ。(枕草子・三七段)
 (花びらの端に、ほんのりとした色が、ついているかついていないかあるようです。)
 
[連体]
また野分のあしたこそかしけれ(徒然草・一九段)
 (また台風の翌朝はとても風情を感じられる。)
[已然]

ク活用とシク活用の識別
「なる」(動詞)をつける 「−くなる」 ク活用(うれし→うれしくなる)
「−しくなる」 シク活用(いとほし→しとほしくなる)
※形容詞の音便
 イ音便…連体形の「−き」「−しき」→「−い」「−しい」
  赦されもないに、三人ながら島を出でたりなんど聞こえば(平家物語・足摺)
   (赦されもしないのに、三人そろって島を出てしまったと都に聞こえてしまったならば、)

  黒栗毛なる馬の、きはめて太うたくましいが、(平家物語・宇治川の先陣)
   (黒栗毛の馬で、格別に太くたくましくて、)

 ウ音便…連用形の「−く」「−しく」→「−う」「−しう」
  鐙[あぶみ]強う踏め。(平家物語・橋合戦)
   (鐙を強く踏め。)

  「悪しう候ふ浄妙房。」(平家物語・橋合戦)
   (「悪いことですよ、浄妙房。」)

 撥音便…連体形の「−かる」「−しかる」→「−かん」「−しかん」
  世のうきよりは住みよかんなるものを。(平家物語・大原入)
   ((山里は)世の中でつらい思いをするよりかは住みよいというものなのだが。)
活用の知識
語幹…活用しても変わらない部分。

未然形…「ず」「む」につながる形。
終止形…言い切りの形。基本形ともいう。
仮定形…「ども」につながる形。
活用語尾…活用によって変わる部分。

連用形…「て」「けり」につながる形。
連体形…「とき」「こと」につながる形。
形容詞の特殊な用法
(1)文を終止して、感動を強める。
   あな黒々、黒き頭かな。(平家物語・殿上の闇討ち)
    (ああ黒い黒い、実に黒い頭だ。)

(2)語幹+格助詞「の」で連体修飾語になり、感動を強める。
   あやしのしづ・山がつのしわざも、(徒然草・一四段)
    (いやしい身分の農夫やきこりのなすことも、)

(3)語幹+接尾語「み」で原因・理由を表す。
   山深み春とも知らぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水(新古今集・春)
    (深い山の中なので春になってもわからないでいたが、松の戸に雪解け水が落ちてきたなぁ。)
文法目次  国語のページ   Top
商用目的での利用を固く禁じます。