■ Hello School 古典 文法 助動詞 練習問題(3)■
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[範囲…む むず らむ けむ べし まし めり]
 
1.次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。

 光源氏は、将来明石の君を后にと考えていたが、身分が低いために問題があった。
そこで、身分が高く、妻でもある紫の上の養女にすることを考える。紫の上は別の妻の
明石の君の母、明石の上に嫉妬するだろうと思いつつも、相談を紫の上にもちかける。


 その夜は内裏にもさぶらひたまふ@べけれど、とけざりつる御気色とりに、
夜ふけぬれどまかでたまひぬ。ありつる御返りもて参れり。え引き隠し
たまはでご覧ず。ことに憎かるAべき節も見えねば、(源氏)「これ破り隠し
たまへ。むつかしや。かかるものの散らも、今はつきなきほどになりに
けり。」とて、御脇息に寄りゐたまひて、御心のうちに、いとあはれに恋
しうおぼしやらるれば、火をうちながめて、ことにものものたまはず。文は
広ごりながらあれど、女君は見たまはぬようなるを、(源氏)「せめて見隠し
たまふ御目じりこそわづらはしけれ。」とて、うち笑みたまへる御愛敬所
狭きまでこぼれぬBべし。さし寄りたまひて、(源氏)「まことは、らうたげなる
ものを見しかば、契り浅くも見えぬを、さりとてものめかさほども憚り
多かるに、思ひなむわづらひぬる。同じ心に思ひめぐらして、御心に思ひ
定めたまへ。いかがすCべき。ここにてはぐくみたまひてや。蛭の子
が齢にもなりにけるを、罪なきさまなるも思ひ捨てがとうこそ。いはけな
げなる下つかたも紛はさむなど思ふを、めざましとおぼさずば、ひき結ひ
たまへかし。」と聞こえたまふ。(紫の上)「思はずにのみとりなしたまふ御心
の隔てを、せめて見知らずうらなくやはとてこそ。いはけなから御心に
は、いとようかなひぬDべくなむ。いかにうつくしきほどに。」とて、すこし
うち笑みたまひぬ。児をわりなうらうたきものにしたまふ御心なれば、
得て抱きかしづかばやとおぼす。いかにせEまし、迎えやせFましとおぼし
乱る。渡りたまふこといと難し。嵯峨野の御堂の念仏など待ち出でて、
月に二度ばかりの御契りなGめり年の渡りには、立ちまさりぬHべか
Iめるを、及びなきことと思へども、なほいかが物思はしからぬ。

蛭の子…「日本書紀」にイザナギノミコととイザナミノミコトとに生まれた蛭の子が
       三歳になっても足が立たなかったので、船に乗せて
流したという話から、
       三歳の子どもを蛭の子と表現された。
(源氏物語・松風)
(1)下線部@〜Iの助動詞の意味と活用形を答えなさい。

(2)下線部A〜Dの「む」で意味の異なるものはどれか。記号で答えなさい。

(3)下線部アの「年の渡り」は次のア〜エのどれか、記号で答えなさい。
 ア.元日  イ.上已(三月三日の女子の節句)
 ウ.端午(五月五日の男子の節句) エ.七夕

(4)次のア〜オで、本文と合うものはA、違うものはBと、記号で答えなさい。
 ア.紫の上は明石の君からの手紙を見ようとも思わなかった。
 イ.源氏は紫の上に明確に養女にしてくださいと頼んだ。
 ウ.紫の上は養女にしたくなかったが、子ども好きの源氏の熱意に同意した。
 エ.紫の上は子どもが好きなので、養女にすることに同意した。
 オ.源氏は紫の上に相談することによってすっかり安心できた。

解答
2.次の下線部A〜Cの「けむ」「らむ」「むず」と同じ意味をそれぞれのア〜ウの
 中から選び、記号で答えなさい。
 
 あはれ、きのふ翁丸をいみじうも打ちしかな。死にけむこそあはれなれ。
なにの身にこのたびはなりぬらむ(枕草子・九段)

 かのもとの国より、迎へに人々まうで来むず(竹取物語・かぐや姫の昇天)

A「けむ」
 ア.空よりやふりけん(徒然草・二四三段)
 イ.生まれけむ年は知りたりや。(大鏡・序)
 ウ.昔、こはたといひけむが孫といふ。(更級日記)

B「らむ」
 ア.少納言よ、香炉峯の雪いかならむ(枕草子・二九九段)
 イ.仏はいかなるものにか候ふらむ (徒然草・二四三段)
 ウ.蓬莱といふらむ山に逢ふやと、(竹取物語・蓬莱の玉の枝)

C「むず」
 ア.参らぬことも候はむずらむ (宇治拾遺物語・一-三)
 イ.うしろに物こそむずと控えたれ。(平家物語・宇治川の先陣)
 ウ.いづちもいづちも、足の向きたらん方へいなむず(竹取物語・龍の首の玉)
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