■ アリとキリギリス 21世紀Version ■
21世紀の童話はこんなふうになっちゃうんだね。
「アリよ、お前はオレを馬鹿にしているようだな…。」
「まぁ、だって、そうじゃないか。生きている間、何も働いていないのだから。
現にお前はこうして冬になって、死にかけているではないか。」

「お前はオレが冬のことを考えないで生きていたと思っているのかい?」
「ああ、そうなんだろ。」
「ある意味そうだな。」
「やっぱり、そうじゃないか。そんな甘い生活が今の時代に通用するわけないだろ。
まったく悲しい人生だな…。」


 せめて、自分が死ぬ時くらいは優越感に浸って死にたい。絶好のチャンスだ。
そう感じ始めていた。
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