怠け者 Part.5 (5/5)
とある湖畔。 1人のサラリーマンが秋の自然風景の絵を描いていた。 仕事はそこそこ真面目にこなすが、時間外労働は決してしない。 趣味は絵画だけではなく、写真、音楽、文学と多岐にわたる。 今日も休日を利用して、自然を楽しみながら、風景画に熱心に取り組んでいる。 風景を一段落描き終え、アウトドア用の椅子に腰掛けて、ふと考えた。 自分で言うのもなんだが、つくづく自分はすごいと思うよ。 常に技能を身につけてきたよなぁ。出世はできなかったけど、 世の中にいろいろなものを創り出してきたな。 我慢してまで、会社で仕事をする気はないからな。やりたい時にやりたいことをする。 これが新しいものを創り出す秘訣ってやつかな。 社会に多くのものを創り出し、残してこそ、一人前ってものよ。 自分の人生は、ツキがなく、チャンスに恵まれなくて、決していいものではなかったけど、 これだけのものを世の中に残すことができた。 他人と競争して、例え勝ったとしても、どうということはない。 自分は自分として生きるよ。 そう考えて、胸につけているお守り袋に手を当てた。中には砂鉄が詰まっている。 これも先祖からのお守りのおかげかな? 神よ、あなたに感謝します。 <了> |