めぐりゆく
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葉桜彰 |
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いつの間にか 和らいだ青色に 滑るように重ねられた 白色が ゆっくりと 南へ流れてゆく
ああ やはり
とどまることは 許されずに
見上げても 見下ろしても 吹き抜ける風が 背中を押すけれど
谷間に沈む陽を 鳴いていた頃と 同じ姿で あと何度見送れば 土に還れるのか
狂い無く 朽ちてゆく形が 狂い鳴く 季節を待つ
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作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。 | |
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形式…口語自由詩 主題=「消滅への願いとその再生」
主な表現技法…
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、 ここで解説する内容はあくまでも作者・ 編者の主観によるものであることを あらかじめ記しておきます。
鳴いていたものは「蝉」です。 夏から秋にかけて、季節は移り変わり、 その螺旋から逃れることはできない。 けれど、死してなお、 生きていた頃と同じような形を 朽ちることなく残している蝉。 その、完全な消滅の願いと、 子孫を残したことでの新たな再生を 詩にしたものです。
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