森の浪漫
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前田ふむふむ |
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戯れる森の雫が、 ひとびとの拍手のなかで、静かに横たわる。 あなたの流れる姿が、 森の節目に、厳かに薫り立つ。
標高をあげている森は、 巧みに感度を敷きつめて、 わずかに彩色を動かしながら、 方位をなめらかに、下流に滑りだす。 森を固める青い循環は、 とどまる思想を持たず、流れつづけて、 繰り返し空の裾野を塗り替えてゆく。
囀る鳥は、ひときわ、喉をあたためて 点々と束ねられた樹木の奥行きを、 広げつづける、 青々とした音階の厚みを増して。
小さく隆起する風を掻き上げる、 弦楽四重奏の喜びを、簡素な教会の窓に、 涼しく馴染ませて、 あなたは、眩しい細い肩を素直におろして、 添削された過去を回想する。 湿潤で、やさしい微動を蓄えた眼差しを、 斜めに伏せて、 ひとたび、福音を味わいながら、 時のつづきは、走り出す。――、 満ち足りた森は、輝きの扉を踏み出そうと、 赤い汗が高まり、つま先を強めて、 あなたを、祭壇の前に敷かれた布にいざなう。 白いいのちは、さらに白い衣装を高貴に 染め上げて、 あなたのみずいろの肌のなかに溶けていく。
速度を持たない時間が、夏の草々を、 静かに踏みしめて、 森の浪漫は、ふかく昂ぶる夢を、 みどりの胸に包み込む。 森が祈りをあげる祝福のときに。
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形式…口語自由詩 主題=「自然と人生」
主な表現技法…
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで 解説する内容はあくまでも作者・編者の主観に よるものであることをあらかじめ記しておきます。
瑞々しい森の中の、清楚な教会を想像して 下さい。 私の考えでは、森の豊かさは、自然の調和した 姿をあらわして、いのちの循環を形作り、 即ち比喩的に、ひとの人生を意味します。 そこで、行われる結婚式の情景を描きました。 あなた=彼女は、自分の過去を振り返ります。 そして、今の幸せを噛み締めます。 そして、バージンロードを歩むのです。 あなた=彼女は、森の中に溶けるように透明で 美しく、そして、森は、青々と祈るように、結婚を 祝福するのです。
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