朝食楽団
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ライラ |
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おじいちゃんが、 納豆の糸をいらいらとお箸ではらい
おとうさんが、新聞をめくる音 おかあさんが、お茶をいれる音 おばあちゃんが、おしんこをかじる音 わたしが、パンにバターをぬる音
が、一斉に奏でられる
テレビのニュースは はじめから合わせるつもりなんてないのか 自由気ままに テノールやソプラノで歌っている
だけど、わたしたちが 「おどろきの声」という楽器に乗りかえたら うまく合唱できるようになった
そんな家族の 朝のオーケストラ
楽員たちは演奏を終えて 今日も一日を奏ではじめる
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Playerが立ち上がるので、 画面を小さくするか隠したりして、本文を 見ながら聞くと効果的です。 | | |
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形式…口語自由詩 主題=「日常を音楽的に表現」
主な表現技法…
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで 解説する内容はあくまでも作者・編者の主観に よるものであることをあらかじめ記しておきます。
この詩はごくありふれた家族の朝食の風景を 音楽的に切り取ったものです。
納豆の糸を箸でふりはらっているおじいちゃん を指揮者にみたて、お父さん、お母さん、 おばあちゃん、わたし、そして、TVのニュースが それぞれリズムを奏でています。
おじいちゃんの箸(指揮棒)の動きは何拍子か、 おとうさんが淡々と新聞をめくっているのか、 それとも面白い記事がみつかるまですばやく めくっているのか、おばあちゃんは忙しくおしんこ を食べているのか、わたしは眠そうにだらだら バターをぬっているのかなど、それぞれの リズムは読者まかせにしてあります。
ですから、あえて、 「おばあちゃんが、おしんこを”いそがしく” かじる音」とせずに、「おばあちゃんが、おしんこ をかじる音」というような表現をしました。
この詩は、これといって、特別複雑な技術などは 用いていませんし、 複雑な内容にもなってないと思います。 にぎやかで、楽しいそうな朝の絵が浮かんでくれ たのなら、それだけでも十分です。 | |