桜風
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三州生桑 |
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桜は傷つくごとに優しく花を咲かせます
うとんじられては優しく咲き さげすまれては優しく咲き
これ以上優しくなってどうするのかと 桜自身も思ってはゐますが
優しく咲き 優しく咲き
そんな桜は詩人になるほかないのです
この春の桜は、とても優しく咲くでせう それはそれは切ないほどに 優しく優しく咲くでせう
風に舞ふ桜の花びらは 想ふ人に想はれぬ 優しい詩人のため息です
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作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。 | |
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形式…口語自由詩
主題=「優しさ」
主な表現技法…擬人法・反復法
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで 解説する内容はあくまでも作者・編者の主観に よるものであることをあらかじめ記しておきます。
前半では、傷つきながらも桜の花は優しく咲くこと を述べ、それは人で言うならば詩人であると表現 されています。 後半では、その詩人の優しさは想っているほど 相手や周囲には想ってもらえず、そのため息は、 優しく咲いた桜の花びらが舞うのと同じようだと 例えています。
傷つけば傷つくほど優しくなれる。 しかもそれは見事に綺麗に花を咲かすことが できることをこの詩では読者に訴えています。
傷つくこと自体は悲しく切ないことですが、それは これからの自分をよりもっと優しくする1つの出来事 なのです。 他人には同情されなかったり、想ってもらえない ことにため息をつくこともあったりもしますが。
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