少女飛行機
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たもつ |
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言葉のひとつひとつに歓声があがり 思い思いに笑い転げ 級友たちの恋の話は 昼休みの教室で佳境をむかえていた
数年も経てば 誰もが通る道である ということを知るのだろうが その前に先ず数分の後には 日直の号令にあわせ 起立をしなければならない
少女は輪から少し離れて 窓際の席にいた スケッチブックを青く塗りつぶしながら 魚を描こうか 雲を描こうか まだ迷っている最中だった
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形式…口語自由詩
主題…「自分」
主な表現技法…
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説 する内容はあくまでも作者・編者の主観によるもの であることを予め記しておきます。
人と同じである、ということにひどく安心する。 その一方で、どこか人と違うということを確認し たがり、「変な自分」を周囲の人間にアピールし たがる。 ある特定の世代に特有な熱病のようなものかもし れない。 自分を自分として生きる(自分らしく生きる、で はない)、ということは案外簡単なことで、それ が簡単なことだと気づくことは意外と困難なこと かもしれない。 そのことに気づいた子は、「冷めた子」「大人び た子」として分類される。 誰もがいつかはとおる通過儀礼のようなもので、 早いか遅いかだけのことだ。その早いか遅いかも ただの相対的な話で意味の無い単位ではあるけれ ど。
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