めくるめくなめくじ
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ベンジャミン |
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はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて しょっぱいなみだながしてる
なくほどにちっちゃくなるからだを まもるためのからもない
おまえもおれもなめくじ
うまれたときからなきつづけてる そんなきがするなきむし
ひかりをきらいかげにかくれてる おまえとおれはなかよし
だけどたまにはゆうきをだして おひさまをあびてみようか
からだじゅうのなみだをきらきらさせたなら めくるめくひかりにつつまれて
おまえもおれも もしかしたらとてもきれいだ
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作品の著作権は作者が保持します。無断転載を固く禁じます。 | |
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形式…口語自由詩
主題…「身近な生き物からのイメージの飛躍」
主な表現技法…擬人法・反復法(正確な反復ではありませんが)
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する 内容はあくまでも私(作者)の主観によるものであること をあらかじめ記しておきます。
まずはじめに、この作品で目を引く点は、タイトルである 「めくるめくなめくじ」という言葉でしょう。「なめくじ」が 「めくるめく」ってどういうこと?みたいな驚きがそこにある からです。しかも、このタイトルには、「めく」とい文字の ならびが三ヶ所も含まれていて、それが語呂の良さを感じ させています。
内容においては、特に特殊な技法は使われておらず。 「なめくじ」を「おまえ」というふうに擬人化して(人間でない ものに対しての「呼びかけ」を、僕は「感情を放り込む」 というふうに言ったりします)いるくらいです。 あとは、ちょっと難しい手法なのですが、 「ダブルイメージ(僕がそう呼んでるだけですが)」です。 これは、二つのイメージを同時進行させて、簡単に言えば 「融合」させてしまう技法です。この作品では、「なめくじ」 を擬人化して、同時に自分が「なめくじ化」されているわけ です。これによって、異なる情感の相乗効果が得られます。
あとは文体のことになるのですが、この作品は「ひらがな」 だけで書かれています。それは、全体的にひらがなの持つ 「優しさ」を強調したかったからです。 最終連(連=文章のまとまり)の
おまえもおれも もしかしたらとてもきれいだ
を、いっそう引き立てることにつながっているのです。 「美しさというものは、見た目や印象だけに由来するもの ではないよね」という作者なりの意見が込められていると 感じとってください。
最後になりましたが、この作品は 「自分が抱えるコンプレックス」 が書くきっかけになっています。他者から偏見を受ける ようなハンデを背負っていても、それが「自分らしさ」である ならば、それを「誇り」にして生きていければなと・・・ 僕はそこを読み取ってもらえたら、それで充分です。
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