雪花
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落合朱美 |
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冬枯れの老木に 花を咲かせてやりたかった
とびきりの六花をこしらえて 枝という枝に舞い降りたのに
老木は身をふるわせて あぁ、寒い ゾクゾクするよ と呟いた
初恋に破れた少女のように うつむいて はかなく消える雪の花 |
作品の著作権は作者が保持します。 無断転載を固く禁じます。 | |
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形式…口語自由詩
主題…「素朴な風景の描写」
主な表現技法…擬人法・体言止め |
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで解説する 内容はあくまでも作者・編者の主観によるものであること をあらかじめ記しておきます。
木の枝に降り積もる雪が花のように見える様子と、 溶けて儚く消えていく様子を少女の恋心に喩えた 作品です。 想いやりや親切とは時に独り善がりなものであり、 必ずしも相手に伝わり感謝されるわけではないという 教訓というか、皮肉めいた意味も込めてあります。
心情と自然物を融合させ、密度の高い作品を味わうこと ができればと思います。
「六花」…「りっか」と読み、雪の結晶が六角形である ことから、雪の結晶をそう呼ぶ。
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