私はとても小さいので
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松本 涼 |
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私はとても小さいので 海を見れば 海でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので 空を見れば 空でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので 風を匂えば 風でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので 音を聴けば 音でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので 君に出会えば 君でいっぱいになってしまう
私はとても小さいので あふれた分は ぽろぽろぽろぽろこぼれてしまう
私はとても小さいので 私をよく知ることができる
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形式…口語自由詩
主題…「かけがえのないものの中での自己の認識」
主な表現技法…反復法・対句法
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解説 |
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※はじめに 詩というものは、読み方は自由であり、ここで 解説する内容はあくまでも編者の主観によるもの であることをあらかじめ記しておきます。
「自分って何だろう…。」 そう思って、考えて、世界のこと、自分の大切な もの、人、いろいろなことが頭の中でイメージが 湧いてきます。 そうすると、 「なんて自分は小さいんだろう。」 自分はなんてかけがいのないものや人の中で 生きているのだろう。」 そんな気持ちがこの詩の中から読み取ることが できます。 自分は小さいけれど、ぽつんと1人いるわけでは なく、その外側はとても広く、そして大切なもの ばかり。 広い世界を小さい自分で対照的に用いることで 世界を巧みに表現されています。
読み手もこの詩に共鳴することにより、自分なり の自分を表現してみてはと投げかけさせる作品 です。
技法としては、第1連と第2連、第3連と第4連、 第5連と第6連がそれぞれ対句法で表現され、 自分の小ささを格調高い表現を使うことにより、 全体のバランスを保てる形になっています。
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