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謙譲語と尊敬語を用いて、その動作を受ける人と、動作をする人を同時に敬意を表す方法。 @謙譲の動詞+尊敬の補助動詞 月日経て、若宮参り[謙譲の補助動詞]たまひ[尊敬の補助動詞]ぬ。(源氏物語・桐壺) (月日が経ち、若宮が参内なさった。) 「参り」…作者の帝に対する敬意。 「たまひ」…作者の若宮に対する敬意。
A謙譲の補助動詞+尊敬の補助動詞 母后世になくかしづき聞こえ[謙譲の補助動詞]たまふ[尊敬の補助動詞]を、(源氏物語・桐壺) (母后がこの世になく大切にお世話申し上げている方を、) 「聞こえ」…母后を低めて作者の四の宮に対する敬意。 「たまふ」…作者の母后に対する敬意。 |
尊敬語を二つ重ね、動作主に対して高い敬意を表す方法。最高敬語ともいう。 いま一きざみの位をだにと、贈らせ[尊敬]たまふ[尊敬の補助動詞]なりけり。(源氏物語・桐壺) ((帝は)せめてあと一階級上の位だけでもと、お贈りになられるのでした。) 作者の帝に対する敬意。 |
「奏す」「啓す」の二語で、天皇・上皇に対しては「奏す」、上皇・皇后・中宮・皇太子に対しては 「啓す」を用いる。 あはれなりつること、忍びかに奏す。(源氏物語・桐壺) ((命婦は)しみじみと感じたことをひそやかに(帝に)申し上げる。) 作者の帝に対する敬意。
わつづらはしうて、宮には、さとは啓せ ず、(源氏物語・賢木) (面倒なので、宮(弘徽殿の太后)には、そうだとは申し上げず、) 作者の弘徽殿の太后に対する敬意。 |
天皇または上皇など、極めて身分の高い人が自分の動作に尊敬語を用いたり、相手の自分に 対する動作に謙譲語を用いる方法。 君なのめならず御感なつて、「なんぢやがて夜さり具して参れ。」と仰せければ、(平家物語・小督) (帝は並々ならぬほどお喜びになられ、「ではすぐに、お前が今夜(小督を)連れて参れ。」とおっしゃるので、) | |
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