■ Hello School 古典 文法 敬語 ■
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敬語…話し手(書き手)が聞き手(読み手)や話題にする人に対して敬意を表す表現。
 丁寧語尊敬語謙譲語の3種類がある。
丁寧語
丁寧語…聞き手(読み手)に対して敬意を表す言葉で、「はべり」「さぶらふ」
     「さうらふ」がついた語。
      基本的な口語訳は「〜です」「〜ます」「〜ございます」になる。

 北山になむ、なにがし寺といふところに、かしこき行なひ人はべる(源氏物語・若紫)
  (北山にある、何とか寺というところに、優秀な行者がおります。)

 物語の多くさぶろふなる、ある限り見せ給へ。(更級日記)
  (多くあると聞いています物語を、あるだけ見せてください。)
尊敬語
尊敬語…話し手(書き手)が相手や話題の人を敬っていう言葉で、「たまふ」
     「のたまふ」「おはします」「る」「らる」などがついた語。
     「みかど」「君」「御」「殿」も尊敬語にあたる。
      基本的な口語訳は「〜なさる」「お〜になる」になる。

 世になき物なれば、それをまことと疑ひなく思はん、とのたまふ(竹取物語・火鼠の皮衣)
  (「世にはないものなので、本物の皮衣だと疑いもなく思いなさい」とおっしゃいます。)

 むかし、惟喬[これたか]の親王[みこ]と申す親王おはしましけり。(伊勢物語・八二段)
  (昔、惟喬親王と申す方がいらっしゃいました。)
謙譲語
謙譲語…話し手(書き手)が自分や自分側の動作をへりくだることによって相手を
     敬う言葉で、接頭語に「拙」「拝」などがついたり、「申す」「はべり」「きこゆ」
     「つかうまつる」「啓す」「奏す」などがついた語。
     「おのれ」「それがし」も謙譲語にあたる。
      基本的な口語訳は「〜申し上げる」「〜てさしあげる」「〜いたす」
     「〜させていただく」になる。

 この酒をひとりたうべんがさうさせうしければ、申しつるなり。(徒然草・二一五段)
  (この酒を一人で飲むのがさびしいので、(おいで下さいと)申し上げたのです。)

 つとめて、御前にまゐりて啓すれば、(枕草子・八段)
  (翌朝、中宮様のところに参り、申し上げると、)
敬意の程度
 尊敬語、謙譲語では、同じような意味でも、その単語によって敬意の程度の異なる
ものがある。
高い敬語
おはします
 むかし、惟喬[これたか]の親王[みこ]と申す親王おはしましけり。(伊勢物語・八二段)
  (昔、惟喬親王と申す方がいらっしゃいました。)
敬語
おはす
 もし幸に神の救あらば、南の海に吹かれおはしぬべし。(竹取物語・龍の首の玉)
  (もし幸に神の助けがあるならば、南方の海に風に吹かれていらっしゃることでしょう。)

高い敬語
おぼしめす
 このたびはもの心細くおぼしめされて、(源氏物語・若菜上)
  (このたびは心細くお思いになられて、)
敬語
おぼす
 竹の名とも知らぬものを。なめしとやおぼしつらん。(枕草子・一三七段)
  (竹の名とも知らなかったのに。無礼者とお思いになっていることでしょう。)

高い敬語
聞こえさす
 また、文も、「久しく聞こえさせねば」などばかり言ひおこせたる、いとうれし。(徒然草・一七〇段)
  (また手紙も、「長く便りを申し上げないので」などとだけ言ってよこすのも、とてもうれしいことである。)
敬語
聞こゆ
 いで、御消息聞こえむ。(源氏物語・若紫)
  (さて、ご挨拶を申し上げよう。)

高い敬語
ご覧ず
 いといたう思ひわびたるを、いとどあはれと御覧じて、(源氏物語・桐壺)
  ((更衣が)ひどく思い悩んでいるのを、(帝は)とてもかわいそうだと御覧になって、)
敬語
見たまふ
 下の十巻を、あすにならば、ことをぞ見たまひ合わするとて、(枕草子・二三段)
  (残りの十巻を、明日になったら、他のものをお読みになるのかと思い、)

高い敬語
させたまふ
 大夫殿のゐさせ給へるを、かへすがへす聞こゆれば、(枕草子・一二九段)
  (大夫殿がひざまつかれたことを何度も繰り返して申し上げると、)
敬語
る・らる
 かの大納言、いづれの舟にか乗らべき。(大鏡・頼忠)
  (あの大納言(藤原公任)は、どの舟にお乗りになるのだろう。)

高い敬語
せたまふ
 大殿油参りて、夜ふくるまでよませたまひける。(枕草子・二三段)
  (御燈火をおつけになり、夜が更けるまでお読みになられました。)
敬語
る・らる
 「それを見てだに帰りなむ」と仰せらるれば、(竹取物語・かぐや姫の昇天)
 (「それ(かぐや姫)の姿だけども見て帰ろう」とおっしゃれるので、)

高い敬語
たまはす
 もとよりさぶらひたまふ更衣の曹司を、ほかに移させたまひて、上局に賜はす(源氏物語・桐壺)
  (もともとおいでになっていた更衣の部屋を、他に移して、(桐壺の更衣に)上局としてお与えになった。)
敬語
たまふ
 いみじう感ぜさせ給ひて、大袿[うちぎ]賜ひて(大鏡・昔物語)
  (とてもおほめになり、大袿をお与えになられ、)

高い敬語
のたまはす
 御後見したまふべきことをかへすがへすのたまはす(源氏物語・賢木)
  (お世話をなさることを繰り返し繰り返しにおっしゃる。)
敬語
のたまふ
 世になき物なれば、それをまことと疑ひなく思はん、とのたまふ(竹取物語・火鼠の皮衣)
  (「世にはないものなので、本物の皮衣だと疑いもなく思いなさい」とおっしゃいます。)

高い敬語
まゐらす
 やすらかにゆひて参らせたけけるが、思ふやうにめぐりて、(徒然草・五一段)
  (かんたんに組み立ててさしあげたが、思うとおりに(水車が)まわり、)
敬語
まゐる
 灯あかくかかげなどして、御果物ばかりまゐれり。(源氏物語・帚木)
  (灯火を明るくかきたてて、(光源氏に)お酒の肴だけを差し上げた。)
おもな敬語一覧
品詞 尊敬語 口語訳 謙譲語 口語訳 丁寧語 口語訳
動詞 与ふ 給ふ(賜ふ) 賜はす
賜ぶ
くださる 奉る まゐる
まゐらす
差し上げる    
行く
おはす
おはします
おいでになる 参る まうづ 参上する    
まかる まかづ 退出する 参上する
言ふ 仰す のたまふ
のたまはす
おっしゃる 聞こゆ 聞こえさす
申す 奏す 啓す
申し上げる    
思ふ 思ほす おはす
おぼしめす
お思いになる 存ず 存ずる    
聞く きこす きこしめす お聞きになる うけたまはる お聞きする    
食ふ
飲む
めす まゐる たてまつる
きこしめす
召し上がる        
仕ふ     侍る 候ふ
仕うまつる
おそばに控える
お仕えする
   
呼ぶ 召す お呼びになる        
着る めす まゐる 
たてまつる
お召しになる        
見る 御覧ず ご覧になる        
あそばす なさる つかうまつる まゐる しもうしあげる    

寝ぬ
大殿ごもる おやすみになる        
あり
をり
います いますがり
おはす おはします
いらっしゃる はべり さぶらふ いさせていただく はべり
さぶらふ
さうらふ
あります
おります
補助動詞 たまふ(四段) おはす ます
めす おはします
〜なさる
お〜になる
たまふ(下二段)
まうす きこゆ
たてまつる まゐらす
〜しもうしあげる はべり
さぶらふ
さうらふ
〜です
〜ます
助動詞 る らる す さす しむ          
名詞 帝 上 殿 君 行幸   おのれ それがし      
接頭語
接尾語
御○ ○君 ○殿   拙(者) 拝(見)      
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