■ Hello School 古典 文法 副詞 ■
古典文法を豊富な例文と一緒にインターネットで勉強できるよ♪
副詞…自立語で活用がなく、主に用言を修飾する単語。
 
副詞の種類
(1)状態の副詞…状態を表す副詞で主として動詞を修飾する。
           以下のような例がある。

状態 大臣に「かくなん申す」と言ふ。(竹取物語・火鼠の皮衣)
 (大臣に「(姫は)こう申しております。」と言う。)
 
すなはち、開きに開きぬ。(竹取物語・かぐや姫の昇天)
 (すぐに、戸がすっかりと開いてしまった。)
 
暁にはとく下りなんといそがるる。(枕草子・一八四段)
 (明け方には早く退出したいと気があせることです。)
 
内裏に帰り参りたればほのぼのと明けにけり。(平家物語・小督)
 (宮中に帰り参ると、夜もほんのりと明けてしまった。)
 
知ると申す人なきをば、やがてみなよみ続けて、(枕草子・二三段)
 (知っていると申し上げる人がいない歌を、そのまま下の句まで詠み続けて、)

擬声語・擬態語は状態の副詞である。
擬声語
擬態語
ちつと鳴らいて、門をほとほととたたけば、(平家物語・小督)
 ((笛を)ぴいと鳴らし、門をほとほとと叩くと、)
 
生年二十六にて海へつつと入りたまふ。(平家物語・能登殿最後)
 (生年二十六歳で海につつっとお入りになりました。)

(2)程度の副詞…程度を表す副詞で主として形容詞・形容動詞を修飾する。
           以下のような例がある。

程度 女御・更衣あまたさぶらひたまひけるなかに(源氏物語・桐壺)
 (女御・更衣がたくさん小仕えなさっていた中に)
 
雪のいと高う降りたるを、(枕草子・二九九段)
 (雪がとても高く降り積もっているのに、)
 
そこらの人の謗り[そしり]、恨みをも(源氏物語・桐壺)
 (たくさんの人たちの非難や恨みを)
やうやう白くなり行く、(枕草子・一段)
 (だんだんと白くなっていき、)
 
梨の花、よにすさまじきものにて、(枕草子・三七段)
 (梨の花は、とても面白味のないもので、)

(3)陳述の副詞…修飾される文節に決まった言い方を要求する。
           以下のような例がある。

[あへて・いさ・いまだ・さらに・つゆ・よも → ず・じ・まじ]
打消
打消推量
あへて人に知られ(宇治十遺物語・七-一)
 (進んで人に知られないように)
 
ひとはいさ心も知ら(古今和歌集・春上)
 (人の心はさてどうだろうか、その心の中はわかりません。)
 
初夜いまだ勤めはべら(源氏物語・若紫)
 (初夜の勤行をまだしておりません。)
 
さらに見ゆべくもあら(竹取物語・御門の求婚
 (一向に御使いにお目にかかろうとはしない。)
 
御胸のみつとふたがりて、つゆまどろまれ(源氏物語・桐壺)
 (帝のお胸はいっぱいで、少しもお休みになれず、)
 
うち絶え聞こゆることはよもはべら(源氏物語・薄雲)
 (ご縁を途絶え申し上げることは決してございません。)

[え → ず・じ・まじ]
不可能 出でおはしますまじ(竹取物語・かぐや姫の昇天)
 (出ていらっしゃられますまい。)

[いかばかり・さだめて → む・むず・べし]
推量 いかばかりかはあやしかりけを、(更級日記)
 (どんなにか田舎じみた娘であったことだろうに、)
 
定めておどろかさむずらむ」と待ちゐたるに、(宇治十遺物語・一-一二
 (「きっと起こしてくれるだろう」と待っていると、)
 

[いかが・いかで・いかに・など → む・べし・か]
疑問
反語
主の心ゆかぬものをば、いかが着るべき。(十訓抄・六-三六)
 (持ち主が納得できないものを、どうして身につけることができるでしょう。)
 
いかにのたまはするに(源氏物語・若菜上)
 (どうしてこのようにおっしゃるのだろうか、)
 
いかで世におはせとすらむ」(源氏物語・若紫)
 (どのようにして生きていこうとなさるのでしょう。)
 
などさは臆せしに(枕草子・二三段)
 (どうしてそのように気後れしてしまったのか、)

[たとひ・もし・よし → とも・ば]
仮定 たとひ耳鼻こそ切れ失すとも(徒然草・五三段)
 (もし耳や鼻が切れてなくなったとしても、)
 
もしあらましか、この僧の顔に似てん」(徒然草・六〇段)
 (もしあるとすれば、この僧の顔に似ているだろう)
 
人はよし思ひやむとも(万葉集・二-一四九)
 (他人が仮に(悲しみを)忘れようとも、)

すべからく・まさに → べし]

当然 すべからく、まづその心づかひを修行すべし(徒然草・二一七段)
 (当然、まずはその心構えを勉強しなくてはならない。)
 
まさに知るべし(今昔物語・一三-一六)
 (あなたは間違いなく知るに違いない。)

[いかで → む・ばや・もがな]
願望 いかで思ふ心をかなへ(源氏物語・明石)
 (どうにかして望みをかなえたい、)

[な・ゆめ → そ・な]
禁止 うとみたまひ(源氏物語・桐壺)
 (よそよそしくしないで下さい。)
 
ゆめ、こと男したまふ(大和物語)
 (決して他の人と結婚しないで下さい。)

副詞の用法
(1)名詞を修飾する。
 ただ一つ二つなど、(枕草子・一段)
  (ただ一つ二つなどと、)

(2)副詞を修飾する。
 いといたく苦しがれたるさまして(竹取物語・蓬莱の玉の枝)
  (とてもひどく苦しげな様子で)

(3)「の」(助詞)をともなって名詞を修飾する。
 そこらの人の謗り[そしり]、恨みをも(源氏物語・桐壺)
  (たくさんの人たちの非難や恨みを)
文法目次  国語のページ   Top
商用目的での利用を固く禁じます。